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50代独身おじさんの日常

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グッと来る、その理由

◆琴線に触れる

"なんかこの曲グッと来るなぁ"って事、皆さんそれぞれ感じると思います。いわゆる「琴線に触れる」という奴ですね。

でもどの部分にグッと来るかは、それこそ人それぞれかと思いますが、なぜその曲に対して自分がグッと来るのかって、気になりませんか?

私の場合物凄く気になって、どうしても解明したいなぁってずっと思っていたのですが、40代の頃に音楽理論を勉強した所、どうやら「増5度」の音にグッと来るみたい、という事を解明する事ができ、頭の中の霧が晴れた様な感覚になったのを今でも鮮明に覚えています。

 

◆増5度

増5度ってなんじゃらほい?ってことですが、例えば曲のキーがCメジャーの場合で言うと、本来は完全5度に当たる「」が曲中に使われるのですが、ダイアトニック外の増5度に当たるソ#の音が使われる場合があって、このソ#が入る事で、曲の中での予定調和の部分がある意味崩れてちょっと不安定になる(良い意味で)効果があり、私の場合その不安定さにエモさを感じる、という事が解りました。

この増5度に当たるソ#が曲の中でどの様に使われているのかを具体的掘り下げていくと、キーがCメジャーの場合であれば、基本的にはドレミファソラシと言うCメジャースケール上にある7つの音で構成され、使われるダイアトニックコードとしては、C,Dm,Em,F,G,Am,Bm♭5と言う7つのコード達となる訳です、基本的には。

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私がエモいなって感じる増5度の使われ方としては、ⅲmをⅢMとして使うテクニックみたいで、キーがCメジャーの場合、本来3番目のコードはEm(構成音はミシ)ですが、EmではなくE(構成音はソ#)というコードを使う事で、3rdの「ソ#」の音がエモさの鍵になる様です。

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本来EmであるところをEに変えているので、コード自体の響きとしてはマイナーの暗い響きからメジャーの明るい響きに変わるので、元々のCメジャーKey特有の曲として明るい印象を残したまま、ピンポイントでこの増5度に当たる「ソ#」の響きが効き、明るいのにどこか哀愁を感じる、みたいな効果が生まれる様で、そこに私はグッと来るみたいです。

 

実例

最近の音楽には全く疎くてパッと具体例が出て来ませんので、少し昔流行った曲で言うと、例えばSublimeSanteriaって曲にもこの増5度が使われています。

この曲はキーがEメジャーの曲なので、G#mというコード(構成音はソ#レ#)が使われるはずの所を、G#(構成音はソ#レ#)に変えており、その「」の響きが上手く効いていてグッと来るんですよね。歌が始まってから2小節目がそのG#でして、いい感じの響きを醸し出しているのですが、更にそれを顕著に感じるのがギターソロの後半部分で、ちょうど"01:57~01:59"辺りのほんの一瞬ですが、「」の音がフレーズに2音含まれていて、妙にグッと来るポイントになっているんです。

邦楽で行くと、JITTERIN'JINNの「♫あなたが私にくれたもの〜」のプレゼントという曲でも、この増5度が使われています。

この曲はキーがFメジャーなのですが、こちらも同様、3番目のコードは本来Am(構成音はラミ)なのですが、 AmをAに変えるのではなく、この曲の場合はAmとA(構成音はラド#ミ)を共存させているんですよね。ここの使い分けが物凄く考えられていて、この曲の作曲者である破矢ジンタさんの構成力ってすんごいなぁって思いました。

具体的に言うと、サビの前半はダイアトニック内のAmを使っており、サビの後半にダイアトニック外のAを使っているんですよね。

サビの前半の歌詞は「大好きだったけど彼女が居“た“なんて」、サビの後半の歌詞は「大好きだったけど最後のプ“レ“ゼント」と続く訳ですが、この“た”の歌詞の部分はの音になっていますが、プレゼントの“レ”の歌詞の部分はド#の音になっているのです。

彼女が居た事を知ってショックを受けているのをAm()の響きで表現して、彼女がいる以上その彼のことは諦めなくちゃいけない、という次に進む為の心の切り替えとまだ彼への未練が残る心持ちを、A(ド#)の中のド#の不安定な音により、揺れ動く乙女の心を表現するという、物凄く高次元なところで歌詞とメロディが練られている構成になっていて、ヒット曲になるだけあってこういう仕掛けがなされていたんだなぁと、この曲が流行った90年代から30年以上経った今になって、ようやく腑に落ちました。

◆結論

こんな感じで、自分が気持ち良いと感じる楽曲が、なんで気持ち良いと感じるのか、ってことを論理的に解明できると、腑に落ちた感というか納得感みたいなものが得られるのは勿論ですが、作り手側の創意工夫とかそういったものも汲み取る事ができるので、音楽理論を理解することで一歩踏み込んだ自分との対話が可能になるので音楽理論は大人になってから仕事以外でちゃんと勉強したことの1つとして、とても良かったことの1つです、というちょっとだけマニアック寄りなお話でした。

それでは皆さんごきげんよう