最近の若い人は、とても頭の回転が早くて聡明で、反応が早いなぁと感じます。
ソツがない、という表現が適切かどうか判りませんが、何事もソツなくこなすイメージというか。
私が彼らくらいの年代・キャリアの頃は、もっともっと不器用だった気がします。
まぁそれは個体としてポンコツなのもありますが、周りの優秀と言われる同僚達も、今の若者と比べると全然優秀ではなかったのではないか、と感じる程。
ここ最近、若手の人達と面談していて物凄くそれを感じます。
動画視聴などを倍速視聴で半分の時間で理解したり、イントロやギターソロの無い楽曲が主流だったり、そんな時代背景や世の中のコンテンツの移り変わりなども、彼らの頭の回転の早さに関係しているのかもしれませんよね。
しかしながら、頭の回転の早さには本当に驚くのですが、逆に、思考のトルクの無さが際立って感じられるのが、とても引っかかる部分でもありまして…。
何を聞いても、素早くリアクションしてくれるのは素晴らしいのですが、そのリアクションの反応が早過ぎるあまり、リアクションの中身というか重みが全く無い、という弊害を感じてしまいます。
頭の回転が早い反面、1つ1つの回答の中に重みを伴わないというのは、思考のトルクが無いからだと思うのです。
スピードが乗った会話のやり取りの中ではぽんぽんとリアクションを返せても、"ん？ちょっと待てよ？それって違くない？" と言った様な、一旦思考のギアをローギアに落とさないといけない局面ですらも、そのままハイギアのまま突っ走っていってしまうので、こちらが本当に伝えたい事を、こちらの意図通りに汲み取れているかとても不安になってしまう訳です。
ハイパー餅つき。
テンポの速いビジネスの会話って、ハイパー餅つきのパフォーマンスみたいな感じだと思うんですよね。
片方が餅をつき、片方が手に水をつけて餅を裏返す。
でも、スピードを上げれば上げるほど、ちゃんと餅を杵でついているかというと、そうでもなく、ちゃんと餅を裏返せているかというと、そうでもない訳で、あれはパフォーマンスとして、阿吽の呼吸を究極に体現化したものだと思うんです。
既に事前にほぼほぼ完成した状態から、あのパフォーマンスを通して仕上げるイメージですもんね。
だから、途中で「あ！餅をちゃんと裏返せていない！」と思ったとしても、一旦Stopしてちゃんと裏返すということもしない訳で。
ハイパー餅つきのパフォーマンスであればそれで全然OKなんですが、ビジネスとして考えると、ちゃんと一旦立ち止まって「さっきこういった説明がありましたが、私はこんな風に考えるんですが、間違ってますか？」みたいに、必要に応じて思考のギアをローギアに落として、思考のトルク(駆動力)をアップする必要がある筈なのですが、最近の優秀な若手には、それが極端に足りていない様な印象を受けてしまった訳です。
ちょっとぬかるみに足を取られたとしても、ハイギアのまま勢いで駆け抜けてしまう、というか。
私が彼らに伝承すべき暗黙知やコンピテンシーの中の最たるものが、この思考のトルクというか駆動力の部分な訳で、如何にしてクライアントの問題を察知するか、如何にして真因の所在を突き止めるか、如何にして問題を除去してあるべき姿に持って行くか…と言ったスタンスで物事を考えることが非常に重要なコアコンピテンスな訳で。
ハイパー餅つきが上手なだけでは太刀打ちできないですし、クライアントの困りごとを額面通りに受け取ってしまい、講じる対策も上っ面だけの効果の薄い対策になりがちなので、物凄く気が重くなりました。
「ちゃんと考えて」と言ったところで、考え方を知らない人に対しては、「ちゃんと考えて」というのは全く意味のない指示で、というか、指示にすらなっていない訳で。
とは言え、ハイパー餅つきの、どういった局面で、どういったタイミングで、Stopをかけるかなんて、教えてどうこうなるものでもないですから、私がStopをかけた局面やタイミングに対し「なぜこの人は、今のこの局面で、タイミングで話を止めたんだろう？」という気付きがあった上で、後で私に質問してくれる様な、そんな仕事の進め方が出来る様なスタイルに持っていくしか無さそうで、"背中を見て盗め" 的なやり方になっちゃいそうなのが、白眼剥きポイントな訳です。
もっとこう、ロジカルに教えたいところではありますが、超絶困難です。
ハイギアでスピード出して走れる性能は大切にしつつ、ぬかるみにハマってしまった時に、ローギアに落として的確な回転数でアクセルを吹かして路面に駆動力を伝えぬかるみを脱出出来る様にしてあげないといけないので、既に私の方が思考のぬかるみにハマっています。
まぁ教えようも無いので「なぁ〜にぃ〜？やっちまったなぁ！男は黙ってローギア！男は黙ってローギア！」と言ったパワープレイで誤魔化していこうと思います。
「どこでローギアに入れれば良いのか、解らないヨォ〜」と苦情が巻き起こりそうですけどね。
それでは皆さんごきげんよう。
