昨日、重めの会議の中で、ヒートアップした上層部が「皆さんこの事態をもっと重く受け止めて、命懸けで仕事してください！」みたいな叱咤激励をしておりました。
私はこの手のセンテンスが飛んでくると、ついつい脳内旅行に出発してしまう癖があるのですが、昨日もそのセンテンスが飛んで来て以降の会議の内容はあまり覚えていないくらい、脳内旅行で思考の空を飛び回ってしまいました。
私が引っ掛かった部分、それは「命懸けで仕事をする」というキーワード（＝パスポート）。
そんなパスポートを握り締め、脳内空港第2ターミナルへ。
例えば皆さんが「命懸けで仕事していますか？」と問われたら、どう答えますでしょうかね？
即答で「勿論！」と答える方もいれば、熟考した上で「う〜ん…一生懸命取り組んではいるつもりだけど、命を懸けているかと言われるとむにゃむにゃ…」的な歯切れの悪い答えになってしまう方もいたり、「仕事なんて飯喰うために嫌々やっているだけ！」と割り切っている方も居るかと思います。
じゃ、自分はどうなんだ？と考えた時、私は曇りなきまなこで「命懸けですよ」と答えると思います。
「命懸け」という言葉からは、どれだけ情熱を傾けて取り組んでいるかの熱量的な意味合いを感じますし、その上層部の方が言いたかった事も恐らく、その情熱を注げ！ってところだと、私は感じ取ったのですが、私はシンプルに "自分の人生の貴重な時間を費やしている以上、皆誰もが命懸けで仕事している" と言う考えで、情熱とか熱量は全く別軸の話でいっしょくたにすべきではないと思っています。
人間の命を、ろうそくに例えると、生まれてから亡くなるまでの間、ろうそくの炎を灯し続ける訳ですよね。
そう考えると、学校に通っている時も、仕事をしている時も、仕事を辞めて何か別のことをやっている時も、皆、自分のろうそくの炎を灯し続けており、ろうそくを消費し続けている訳ですよね。
やる気があればろうそくが長持ちする訳でもなく、やる気があればろうそくの炎が強火になる訳でもなく、淡々と炎を灯し続け、淡々とろうそくを短くしていくだけ。
ちょっと話を元の軌道に戻すと、我々人間は、学校に通っている時も、会社で働いている時も、家で何もしていない時も、常に命を燃やし続けている訳ですから、「命懸けで仕事していますか？」と問われたら、誰もが即答で「Yes！」と答えるべきだと思うのです。
「命懸けで学校に通ってますか？」「Yes！」
「命懸けでニートしてますか？」「Yes！」
生きているということだけで、我々は常に命懸けなんですよね。
恥じる事なく、皆それぞれが命懸けで生きている訳です。
…そんな考えがバックボーンにある私なので、会議中に発せられたワンセンテンスにトリガーを引かれ、脳内旅行に飛び立った訳ですが、その上層部が発破を掛けるべきポイントは「命懸け」かどうかではなく、「自分事として捉えて欲しい」と言う事に重点を置いて伝えるべきだったのではないかなって、思考の空の遥か上空から思ったのです。
誤：「皆さんこの事態をもっと重く受け止めて、命懸けで仕事してください！」
正：「皆さんこの事態をもっと自分事として受け止めて、各自が自分の最高のパフォーマンスで仕事してください！」
こんな感じで伝えてくれたら、皆賢い大人の集団なので、各自が何をすべきなのかは自分で考えて行動できると思いますが、「命懸けで」と言ってしまうと、私の様な捻くれ脳内トリッパーがそこかしこで飛び立っていくだけなのになぁって、上から目線で思っちゃいました。上空にいるだけに。
組織の上に立つ人間の言葉が、現場の末端のメンバーまでちゃんと伝わる事ってとても難しい事で、上層部の想いと、現場の想いはいつもボタンの掛け違いの様な状態になりがちです。
誰もが同じゴールを目指せる様な分かりやすい目標や、その目標を達成する為の明確な方針や計画…は勿論、「我が社が何故それをやるのか」「社会は我が社に何を求め、我が社は社会に対し何を提供できるのか」みたいな、ビジョンとかフィロソフィと言った共通認識を皆で握れないと、推進力って出せないもんですよね。
そこの中心軸がブレてしまうと、遠心力が掛かると組織はバラバラに空中分解してしまいますし、そういった企業、組織を散々見てきました。
まぁ中心軸がブレている企業や組織があるから、私も仕事が貰えている訳ですが。
そんなことを雲の上で考えつつ海を超え、着地したら会議が終了していました。
まぁ重めの会議とは言え、上層部が出てくる会議と言うだけで、あまり芯を喰った内容の会議で無かったので、良い脳内旅行だったかと思います。
という事で、今日命懸けで仕事すれば、明日からは命懸けの10連休です。
命懸けで休みます！
それでは皆さんごきげんよう。
